Web2.0時代におけるオンライン事業での採算性
「Profitably Running an Online Business in the Web 2.0 Era」 という記事がありました。 面白かったので要約してみました。 個人的には、Web2.0的サービスの見返りに企業がユーザのAttention Trustを取得できる事を利点と言ってしまう点が多少嫌な感じがしました。 また、普及だけさせといてユーザが逃げられなくなってからお金を儲けようという考えも透けて見えていました。 ただ、残念ながらこれらはきっと事実だろうとも思いました。
以下、要約です。 誤訳などがある可能性があるので詳細は原文をご覧下さい。 過去の記事を参照しろと書いている部分があったので、2つの記事を混ぜて要約しています。
Web 2.0における最も大きな疑問点があります。 APIを公開して持っているコンテンツを全部ユーザに勝手に使わせてしまって、どこで収益をあげるのか?というものです。 この問題はWeb2.0が言われ始めた当初から言われていたことです。 Web2.0的テクニックを駆使して大量のユーザを有するサイトを作ることに成功したとしても、採算を取らなければ意味がありません。
Web2.0的仕組みから収益を上げるには3つの方法があります。 広告、会費/購読料、手数料です。 例えばeBayは手数料で収益をあげています。
Web2.0の利点を最大化するための戦略
上記3つの直接的な方法は非常にわかりやすいですが、間接的な手法を用いて広告、購読料、手数料を最大化させる戦略があります。 次は、間接的に利益をあげる方法を説明します。
戦略的買収
世の中がその価値を知る前に、指数関数的成長をしているWeb2.0企業を買収します。 これにより、他者が努力して開発したネットワークを取得することができます。
データに関する主導権を維持する
ユーザは全てのデータに対してアクセスはできるが、データの保存はできないような仕組みを維持します。 例えば、Googleは検索インデックスに対するアクセスをWeb上でのみ許可しています。
ユーザの嗜好を知れる (Building Attention Trust)
ユーザの嗜好や何に興味を持っているかに関するデータを正規の方法で取得できます。 ユーザの嗜好や何に興味を持っているかを知る事ができるので、各ユーザに最適な商品やサービスを構築できます。
アプリケーションをプラットフォームへ
各アプリケーションが一度だけしか利用されないのはもったいないです。 アプリケーションをプラットフォームに仕立て上げて、5回、50回、5000回と利用してもらいましょう。 オンラインプラットフォームから収入を得るのは簡単ですが、まずは利用せざるを得ないコンテンツやサービスを確立してしまう事が必須条件です。
カスタマーサービスを完全自動化する
カスタマーサービスを自動化し、ユーザが欲しいものをそれぞれ勝手に得られるようにすべきです。 これは簡単なように聞こえますが、ほとんどの企業は間に人間が入ってカスタマーサービスを行っています。 自動化は非常に困難ですが、ロングテールなマイクロマーケットを相手にするには必須の項目です。
Web2.0原則の光と影
Web2.0の原則は諸刃の剣である面を持ちます。 Web2.0のコンセプトを正しく使えば非常に協力ですが、失敗すると問題を発生させてしまいます。 次は、そのようなWeb2.0の光と影を紹介します。
1. プラットフォームとしてのWeb (Web as Platform)
良い点:収入の規模が大きい。Web上には10億人のユーザがいる。将来的に成長する。
悪い点:競合他社との距離がURL分しかない。競合他社との距離が実世界よりも近い。事業規模の勝負になりがち。
2. Software Above a Single Device
良い点:More opportunities to deliver products and services to users in more situations
悪い点:Upfront costs, more infrastructure, more development/testing/support (costs) to deliver products across multiple devices
3. Data is the Next "Intel Inside"
良い点:Customer loyalty and even lock-in
悪い点:Lack of competitive pressure leading to complacency, long-term potential antitrust issues
4. Lightweight Programming & Business Models
良い点:開発コストの低減。パートナーとのインテグレーションが容易。開発スピードが速い。多機能。
悪い点:想定外のスケーラビリティ問題。利用可能最大ユーザ数予測不能。セキュリティ問題。制御不能に陥る可能性。
5. リッチユーザエクスペリエンス (Rich User Experiences)
良い点:顧客満足の向上。他との差別化。
悪い点:開発コストの上昇。ユーザが適応してくれないかも知れない。
6. Harnessing Collective Intelligence
良い点:Much lower costs of production, higher rate of innovation, dramatically larger overall content output
悪い点:Lower level of direct control, governance issues (increased dependence on user base), content management issues, and legal exposure over IP
7. ロングテール
良い点:効果的に無数の小さなマーケットにリーチ可能。結果として顧客範囲の拡大。
悪い点:先行投資が莫大になる可能性。長期のカスタマーサービス運営費がかさむ可能性。
現状では、ほとんどのベンチャー企業は大きな利益を得られていません。 一方、APIを公開してプラットフォームを提供しているAmazonやSalesforceなどの企業は非常に大きな収入を得ています。 彼らはプラットフォームの主導権を逃がさないように注意深く行動しています。
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