「ひとりで何でもできるエンジニア」は勝手に育つ
「スタートアップベンチャーはスーパーエンジニアを求めるけどエンジニア界隈と起業家界隈で想像しているスーパーエンジニアの定義が違う件」という記事が話題です。
その中で、「「ひとりで何でもできるエンジニア」は存在しないと思った方が良い」」として、以下のように書かれています。
「ひとりで何でもできるエンジニア」は存在しないと思った方が良い」
起業家の方が知らない側面として 現在バリバリ活躍しているエンジニアのほとんどが得意領域を持っていて それ以外の分野については出来る人であっても「平均点以上」ぐらいの活躍しか出来ないということです。 そして優秀なエンジニアの方はそのことをよくわかっています。 たまに化け物みたいな化け物がいて物理からインフラからアプリケーションからUI/UX ネイティブアプリ開発からwebマーケティングに資産管理まで全部出来ちゃう人もいますが その人を望む事は「年収1000万の人と結婚したい女」コピペ並みの高望みだと思っておいた方が精神衛生上よろしいかなと。
最近は、フルスタックエンジニアというパワーワードを耳にすることが減りましたが、IT系のエンジニアではない人から見て「何でもできるエンジニア」というのは、勝手に育つものなので、いないのであれば育ってしまう可能性もあると個人的には考えています。
上記記事では、スタートアップベンチャーがそういった人を雇うことは困難であるという意味で、「存在しないと思った方が良い」とありますが、その点については私も同意です。 その一方で、「この人は何でもできるんじゃないの?」と思えるぐらいに守備範囲が広い人というのは、結構いっぱいいる印象です。(本当の意味での「何でもできる」は、基本的に不可能ですが)
これまで出会った、「この人、守備範囲が広くて本当に凄いなぁ」と思えるIT系のエンジニアに共通するのは、様々なことに興味を持って自主的に勉強することだと思います。なので、ほおっておいても勝手に没頭して勉強するようなタイプの人であるかどうかというのが大事かも知れません。
ただ、自主的に勉強する能力だけでは、「何でもできると思えるほど凄いエンジニア」は育ちにくいです。 「何でもできると思えるほど凄いエンジニア」は、最初から全部をできるわけじゃなくて、色々なことに関わっていくうちに、できることが増えていっているだけなので、色々なことを調べるきっかけが必要です。
たとえば、解決する必要がある課題が常に襲ってくる環境であったり、新しいことに常に興味を持ち続けられるようなおもちゃ箱的環境に触れ続けることができたり、時代背景であったり、何らかの外的要因と本人が持っている資質の両方がそろう必要があります。
事業の立ち上げを経験したことがあるITエンジニアがフルスタック的な感じがするのとか、会社が小さいうちから全部を作ってきたITエンジニアとか、インターネットが流行る前からTCP/IPに触れているITエンジニアなどに、「この人、何でもできるんじゃないの」と思えるような人が多いのは、「環境」という側面も非常に大きいというのが私の感想です。
そのため、何かに興味を持って情熱的に調べることができるITエンジニアと出会うことができて、かつ、そのITエンジニアが楽しいと思える環境を用意し続けられるのであれば、「何でもできるんじゃないのと思えるレベルのITエンジニア」は勝手に育つ可能性があります。
そもそも、「何でもできるんじゃないのと思えるITエンジニア」が育つための条件として、その人が最初からITエンジニアである必要性は、どこにもありません。全くIT関連の技術に関して無知だったとしても、年月を経て凄いITエンジニアになった人も結構います。
既に完成された「凄い人」が見つからないのであれば、「凄い人」の原石になる人を見つけて、その人が育ってしまうような環境が用意すれば、「凄い人」は育つこともあるのです。
なお、結果を見れば、そうだったということは結構あったとしても、狙ってそうするのは難しいと思います。 「何でもできるんじゃないのと思えるITエンジニア」は勝手に育つと私は主張していますが、逆に言うと「育てる」ことは困難なのです。 以前、「教える」こと、「学ぶ」ことや「すごいエンジニア」は凄いエンジニアになることを目指してないかもで書いたように、「育つ」かどうかは、基本的に本人に主体性がある話であり、意図的に「教える」というのは難しいと思うのです。
ということで、私が書いているこのブログ記事は、スーパーエンジニアを渇望するスタートアップにとって全く役に立たない文章だと思います。
追記
続きを書きました。
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