今年書いた記事で2012年を振り返る
はやいもので、2012年も残すところ数日となりました。 年末ということで、今年書いた記事からオレオレ的な2012年を振り返りたいと思います。
「オイラ、職業ブロガーになる!」と宣言してから5年目ということもあり、徐々に経験も溜まってきました。 数年前は海外ネットで話題となっていた記事の紹介が中心でしたが、今年は、取材や調査を積み重ねることによって、世の中に公開されていない情報を記事として公開したり、あまりまとめられていないテーマのまとめ記事執筆に成功したと思えるネタがいくつかありました。 とはいえ、まだまだ自分の修行の足りなさを実感することも多く、来年も色々と頑張りたいと考えています。
来年もどうぞ宜しくお願い致します!
違法ダウンロード罰則規定追加と日本のインターネットトラフィック激減
2012年10月1日に、改正著作権法による違法ダウンロード罰則が施行されました。 それによって、日本国内のインターネットトラフィックが激減しています。 罰則化寸前の駆け込み需要なのか、9月末に急激にトラフィックが増えているのが何とも味わい深くもあります。
これまで、日本のインターネットトラフィックが定常的に大きく減ったのは、2010年1月1日施行のダウンロード違法化と2012年10月1日施行の違法ダウンロード罰則規定追加だけです。
当初フェアユースを目指していた著作権法改正が議論の過程で小規模な変化に留まる一方で、議員からの修正という形で違法ダウンロードの罰則規定が追加され、その中身に対して「本当に罰則規定を適用できるの?」という意見もあります。 とはいえ、非常に大きな萎縮効果があったことだけは確実だろうと思います。
World IPv6 Launch
今年の中旬ぐらいまで、World IPv6 Launchに関連して、NTTフレッツ網におけるIPv6が話題になりました。 私もいくつか記事を書いたのですが、個人的には、ここら辺の話が今年最も「他のところに出てない情報」を作れたテーマでした。 この話題に関しては、各記事をご覧頂ければと思います。
- 「マルチキャストを含めたIPv6コミュニケーションを実現したかった」- NTTフレッツ網IPv6が開始された理由
- [発表資料] NTT IPv6のはなし - 垣間見える日本のインターネット通信業界構造 -
- World IPv6 LaunchとNTT IPv6閉域網を巡る駆け引き - DNSでのAAAAフィルタ
- NTT IPv6閉域網フォールバック問題
SOPA/PIPA
昨年末から今年始めに世界的に話題になったのが、米国でのSOPA/PIPA法案です。
大きな話題になったのは、オンライン海賊行為を取り締まるための法案であるSOPAの方でした。 SOPAは、DNSブロッキングによってオンライン海賊行為を行っているサイトを遮断したり、検索エンジンへの掲載をとりやめさせたりできるようになる法案でした。 広告ネットワークやクレジットカードなどの決済サービスの停止によって資金流入をストップすることも可能な内容でした。 同法案は、外国のサイトをターゲットにしているという名目でありつつも実際はアメリカ国内も対象に入おり、かつ1件でも著作権侵害行為があればサイト全体を止めてしまうことも可能なので、「インターネットを壊す」という反対意見があり、ネットメディアを中心とした激しい反対運動が行われていました。 PIPAも類似した内容ですが、SOPAの上院版(SOPAは米国下院で審議中)と言われています。
一時は法律が成立しそうな空気でしたが、反対運動が大きく盛り上がり、最終的にホワイトハウスがSOPA/PIPAの法案に反対を表明して廃案になりました。
そこに至るまでの過程として、Tumblrでの抗議活動によって議員へネットユーザの意見が届けられたり、SOPAを支持していたGoDaddyの不買運動が広がり支持を取り下げざるを得なくなったり、その状況を見て他のSOPA支持企業が支持を取り下げるなどがありました。 それら以外にも、様々な抗議がネット上で行われるとともに、アメリカ国内のオンラインメディアはSOPA/PIPAの話題が連日のように書かれるという状況になりました。
抗議活動の中で世界的に大きく報じられたのが、Wikipediaによる抗議のブラックアウトでした。 この抗議活動が決定打になったようにも見えます。
SOPA/PIPA問題は、@ITで書いた記事が一番まとまっています。 私のブログで書いた記事は、基本的に、そのときどきの状況を伝えたものでした。
- @IT: 著作権者団体とWeb 2.0的IT企業の対立 なぜWikipediaは停止するのか - SOPA抗議活動をひもとく
- 1月18日のTwitpic停止はロゴのみ
- ネットが政治を動かす。SOPA/PIPAのDNSブロック条項削除へ
- Wikipediaなど18日に停止 SOPA/PIPA抗議で
- 'アイルランド版SOPA'が署名される
Megaupload
MegaUploadの存在は、SOPA/PIPAの話題でも度々登場していましたが、そのようなサイトがSOPA/PIPA廃案が確定的になった直後に強制閉鎖されたのは象徴的でした。
MegaUpload事件のその後ですが、ニュージーランドの裁判で色々ともめています。 2013年前半に何らかの動きがありそうです。
- MegaUpload閉鎖と日本国内でのトラフィック
- インターネットの30%はファイル共有とアダルトとP2P
- MegaUpload強制閉鎖の5日後に「MegaUploadのようなサイトがあるので新しい法律が必要だ」というビデオが公開される
- インターネットトラフィックで見るMegaUpload閉鎖
- MegaUpload関連で日本のユーザが逮捕される可能性を考える
- ファイル共有サイトMegaupload閉鎖 - アメリカで起訴、ニュージーランドで逮捕
ccTLDレジストリのクラック事件
今年はccTLDごと乗っ取られるという事件がいくつかありました。 アイルランドとルーマニアとパキスタンのccTLDレジストリがクラックされ、セルビアのccTLDを扱うレジストラもクラックされました。
- 今度はセルビアのccTLDを扱うレジストラがクラックされる
- ルーマニアのccTLDレジストリが乗っ取られた?
- .ieレジストリがクラックを認める報告書を公表
- Google.ieとYahoo.ieがハイジャックされた?レジストリがクラックされた?
OpenFlow記事を色々書いたなぁ
OpenFlowの記事も色々書きました。 最近はSDN(Software Defined Networking)という大枠で語られることが多く、SDN/OpenFlowという表記も2012年後半に多く見られました。
OpenFlow、2013年はどうなりますかねー。
- OpenFlowが日本で流行る理由
- OpenFlow ShowCase、HPの展示内容 [Interop Tokyo 2012]
- OpenFlow ShowCase、ジュニパーの展示内容 [Interop Tokyo 2012]
- OpenFlow ShowCase、Radwareの展示内容 [Interop Tokyo 2012]
- OpenFlow ShowCase、NTTコミュニケーションズの展示内容 [Interop Tokyo 2012]
- OpenFlow ShowCase、Brocadeの展示内容 [Interop Tokyo 2012]
- OpenFlow ShowCase、NECの展示内容
- 編集で原稿がどう変わるかの実例(OpenFlow記事)
「浸透いうな!」関連記事
多少分類手法がアレゲですが、こういった記事も今年書きました。
- 釘バットを持った浸透いうなの先生イラスト
- 「DNS浸透問題」は脆弱性だった!「幽霊ドメイン名脆弱性」
- お名前.comによる忍者ツールズ停止措置に関して
- JPNIC、AS番号維持料を巡り訴えられる
- [書き起こし]親の心子知らず?委任にまつわる諸問題について考える 〜ランチのおともにDNS〜
WCIT-12
一部界隈で話題となったWCIT-12関連記事です。 日本語での資料があまりなかったこともあり、密かに多くの方々にご覧頂けたジャンルでした。
WCIT-12の結果に関しての記事を年内に公開したかったのですが、間に合いませんでした。。。 来年の公開を目指したいと思います。
WCIT-12は、どちらかというと前哨戦的な位置づけだろうと思うので、国連関連の話題で警戒すべきは来年から2014年と2015年までの流れでしょうね。 来年はWTPF-13が5月ぐらいに多少盛り上がりそうです。
- 国際規則でインターネットを規制する試み - WCIT/ITRs
- 総務省「WCIT-12に関する説明会」参加メモ
- 「国連がインターネットを規制する」と話題のWCIT-12開始
- WCIT-12のFinal Actにサインした国、してない国
今年、最も注目を集めた記事
記事単体として最も注目を集めたのは「新品PCにこんなものが!」でした。
非常に時間をかけて調査した記事が伸びずに、こういった方向性の記事が注目を集めがちなのは、いつも残念に思います。。。
他、いろいろ
たとえば、IPv4アドレス在庫枯渇問題やIPv6など、ここで紹介した意外にも、いろいろな記事を書きました。 2012年の記事一覧は、こちらをご覧下さい。
最近のエントリ
- 「ピアリング戦記」の英訳版EPUBを無料配布します!
- IPv4アドレス移転の売買価格推移および移転組織ランキング100
- 例示用IPv6アドレス 3fff::/20 が新たに追加
- ShowNet 2024のL2L3
- ShowNet 2024 ローカル5G
- ShowNetのローカル5G企画(2022年、2023年)
過去記事