「匿名はネットから消えるべき」by Facebookマーケティングディレクタ

2011/8/4-1

Facebookマーケティングディレクタで、Facebook共同創設者であるMark Zuckerberg氏の姉であるRandi Zuckerberg氏が「ネット上での匿名は消えるべきだ。("anonymity on the Internet has to go away.")」と発表しました。

「NetworkWorld : Argh! Another Facebook Zuckerberg Wants to Kill Off Anonymity

人々が匿名で言いたい放題になってしまうので、自分の名前が表示されていた方が人々は礼儀正しくなるというのが理由だそうです。

NetworkWorldでは、Randi Zuckerberg氏による発言へのEEFからの反論も紹介しています。

Randi Zuckerberg Runs in the Wrong Direction on Pseudonymity Online

EFFの記事では以下のように述べています。

Randi Zuckerberg doesn’t just think that you should be using your real name on Facebook or Google+ or LinkedIn -- she thinks pseudonyms have no place on the Internet at all. And why should we take the radical step of stripping all Internet users of the right to speak anonymously?

(訳) Randi Zucerberg氏は、Facebook、Google+、LinkedInで実名を使うべきだとするだけではない。 インターネット全体でハンドル名は存在すべきではないと考えている。 なんでインターネットユーザによる匿名での発言を行う権利全体を奪うという過激な方向へと進もうとするのだろう?

NetworkWorldの記事は、2008年にGoogle CEOのEric Schmidt氏が「未来のWebでは匿名性はなくなる」と発言したという記事も紹介しています。

Google CEO Schmidt: No Anonymity Is The Future Of Web

日本で議論されている「匿名」と米国で議論されている「Anonimity」って微妙に違う?

これらの議論を見ていると日本語で「匿名」と一言で表現してしまう内容と記事中で「Anonimity」と表現している内容が必ずしも一致していない可能性を感じました。

日本語で「匿名」と書いている場合には、「表示されているのが実名ではない」「ハンドル名さえもわからずリンカビリティもゼロ」「でも匿名で2chに書き込んで逮捕されることもあるからトレーサビリティがある場合もある」という色々なものが混ざっている気がします。 どちらかというと、トレーサビリティよりも「見た目が匿名であるかないか」という議論が多い印象があります。

一方、英語で「Anonimity」と表現されている場合には、「Freedom of speech」という話題が付属することが多いので、どちらかというとトレーサビリティの話が多く含まれているように感じることもあります。

おまけ

「ネットでの発言を実名で行わせよう」という話題は日本だけの話題ではないようです。 「米国のネットは実名制」という発言が日本でしばしば行われることがありますが、このように「匿名発言をネットからなくそう」というような意見が米国であるということは、米国でも日本のような匿名発言が多い証拠だろうと思います。

あと、日本で盛り上がった議論が周回遅れで米国で盛り上がりつつあるような気がするのですが、気のせいでしょうか?

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