もはや「ネットは便所の落書き」ではない

2010/4/5-2

日本国内のネットは、数年後には色々と雰囲気が変わっているかも知れないと思い始めました。 「ネットは便所の落書き」という表現がありますが、名誉毀損というコンテキストにおいては、今後は「落書き」ではなく「報道」と同じ基準で判断されることが増えるのかも知れません。

既にご存知の方々にとっては「いまさら」と思われる気がしますが、そのように私が考え始めた根拠は、以下の事件の判例です。 ネットへの書き込みに対して「報道と同基準」であるべきとされています。 最高裁の判決であり、有罪が確定しています。 そのため、今後はこの判例が非常に重要な意味を持つと思われます。

時事ドットコム:名誉棄損「報道と同基準」=ネット書き込みで初判断−会社員の有罪確定へ・最高裁

 決定で同小法廷は、ネット上の個人表現での名誉棄損罪の成立について、「ほかの表現手段と比べ、より緩やかな要件を適用すべきではない」とする初判断を示した。

 同小法廷は、個人発信のネット情報について、「信頼性が低いと受け取らない閲覧者もおり、ほかの表現手段と区別して考える根拠はない」と指摘した。

 その上で、ネット情報は不特定多数が瞬時に閲覧可能で、被害が深刻な場合もあり得ることや、ネット上の反論で名誉回復が図られる保証はない点を考慮。メディア報道などと同じ基準で判断すべきだとした。

この事件は、ラーメン店チェーン運営会社を中傷したとして会社員が訴えられたものですが、最終的な判決で述べられた「メディア報道などと同じ基準で判断すべき」という部分が特に衝撃的です。

なお、これは「同基準で判断」であって、放送に関連する法律の罰則が適応されるという話ではないと思われますし、事例に応じて「同基準」になるかどうかは変わるのかも知れません。 そのため、現時点では「全てのネット書き込みはメディア報道と同等の基準であるべき」という極論が決定したわけではありませんが、今後の流れを決めかねない大きな判例ではあると推測されます。

昔から「インターネットで誰もがジャーナリスト」と言われ続けていますが、少なくとも「責任」という視点においては、それを裏付ける判例が一つ登場してしまったことになるのかも知れません。

主文

判例の主文には以下のように書かれています。

2 所論は,被告人は,一市民として,インターネットの個人利用者に対して要求される水準を満たす調査を行った上で,本件表現行為を行っており,インターネットの発達に伴って表現行為を取り巻く環境が変化していることを考慮すれば,被告人が摘示した事実を真実と信じたことについては相当の理由があると解すべきであって,被告人には名誉毀損罪は成立しないと主張する。

被告人は、一市民としてインターネット上で表現行為を行っていて、そこでのリテラシ上は真実であると信じたことには十分な根拠があるという主張であったようです。

しかしながら,個人利用者がインターネット上に掲載したものであるからといって,おしなべて,閲覧者において信頼性の低い情報として受け取るとは限らないのであって,相当の理由の存否を判断するに際し,これを一律に,個人が他の表現手段を利用した場合と区別して考えるべき根拠はない。

しかし、今回の判断では、インターネット上での情報発信者が個人利用者だからといって信用されないとは言い切れないと判断されています。 ネットを利用するときの話題として「誰が言ったかよりも、何を言ったかが大事」という表現が昔からありますが、それと同じように「個人であるからといって信用されないわけではない」ということのようです。

そのため、主文ではインターネットではない「表現手段」を利用した場合と「区別して考える根拠はない」としています。 要は「他の表現手段」と同一基準ということでしょうか。

そして,インターネット上に載せた情報は,不特定多数のインターネット利用者が瞬時に閲覧可能であり,これによる名誉毀損の被害は時として深刻なものとなり得ること,一度損なわれた名誉の回復は容易ではなく,インターネット上での反論によって十分にその回復が図られる保証があるわけでもないことなどを考慮すると,インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても,他の場合と同様に,行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であって,より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきものとは解されない

そして、ネットの速報性や、訂正記事にアテンションが集まりにくく名誉回復が容易ではないということから、「確実な資料,根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当」としています。

個人的には、さらに衝撃だったのが以下の部分です。

被告人は,商業登 記簿謄本,市販の雑誌記事,インターネット上の書き込み,加盟店の店長であった者から受信したメール等の資料に基づいて,摘示した事実を真実であると誤信して本件表現行為を行ったものであるが,このような資料の中には一方的立場から作成されたにすぎないものもあること,フランチャイズシステムについて記載された資料に対する被告人の理解が不正確であったこと,被告人が乙株式会社の関係者に事実関係を確認することも一切なかったことなどの事情が認められるというのである。以上の事実関係の下においては,被告人が摘示した事実を真実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があるとはいえないから,これと同旨の原判断は正当である。

この文面をそのまま受け取ると、雑誌記事を参考にしただけで書いた内容ではアウトになりそうです。 インターネット上の書き込みや、関係者からの直接的なメールだけでも駄目となっています。

個人的には「このような資料の中には一方的立場から作成されたにすぎないものもあること」と「被告人が乙株式会社の関係者に事実関係を確認することも一切なかったことなどの事情が認められるというのである」というのがポイントかと思いました。 良くニュースで「問い合わせたが回答は無かった」とあるのは、きっと、こういうことなんですかね。。。

事実誤認で立件18人

今回の判例を足がかりとして、ネット上の煽りを信じて突撃した個人が次々と立件される事例が増えるのかも知れません。 事実誤認で立件という事件としては、丁度1年ぐらい前に次のようなものがありました。

スポーツ報知:スマイリーキクチ「ブログ」炎上させた18人立件へ

この事件では、ネット上に書き込まれた嘘の情報を信じて、芸能人のブログコメント欄に誹謗中傷を書き込んだというものです。 芸能人ブログのコメント欄の炎上は比較的良く見られる光景ではありますが、例えばここに対しても今後は「報道と同基準」を持ち込まれるのかどうかが気になるところです。

この事件が今回の判例の参考材料になったのかどうかは知りませんが、今後は、このような事例が徐々に増えて行くのかも知れないと思いました。

報道と同等の責任?

Wikipedia:放送法」には以下のように書かれています。

第1章 総 則

(目的)
第1条 この法律は、左に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
  • 1.放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
  • 2.放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
  • 3.放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。

この目的の下に、番組編集についての通則として、

第三条の一、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」、
第三条の二、各事業者の責任として放送番組の義務または必要条件として
  • 公安及び善良な風俗を害しないこと。
  • 政治的に公平であること。
  • 報道は事実をまげないですること。
  • 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

と、法的保護と義務とが規定されている。

民法連のWebサイト(日本民間放送連盟 放送基準 第6章)には、以下のように書いてあります。

(32) ニュースは市民の知る権利へ奉仕するものであり、事実に基づいて報道し、公正でなければならない。 ニュースの報道は、なによりも正確かつ公正でなければならず、公平で客観的であることが求められる。 取材にあたっては、まず事実を確認し、また対立している問題については多角的に取り上げ、一方に偏ることのないよう配慮しなければならない。
...(略)...

(33) ニュース報道にあたっては、個人のプライバシーや自由を不当に侵したり、名誉を傷つけたりしないように注意する。
...(略)...

(34) 取材・編集にあたっては、一方に偏るなど、視聴者に誤解を与えないように注意する。 取材・編集にあたる場合、予断と偏見を持つことなく臨まねばならない。ニュースの報道は、それがたとえ事実でも、取材・編集の方法いかんによっては、真実からかけ離れたものになる危険性を含んでいる。
...(略)...

(35) ニュースの中で意見を取り扱う時は、その出所を明らかにする。 ニュースおよびリポートなどで意見を扱う時は、事実と意見を明確に区別しなければならない。
...(略)...
(36) 事実の報道であっても、陰惨な場面の細かい表現は避けなければならない。 必要以上に克明に陰惨な場面を表現することは、視聴者に不快の感を与えやすい。
...(略)...

(37) ニュース、ニュース解説および実況中継などは、不当な目的や宣伝に利用されないように注意する
...(略)...

(38) ニュースの誤報は速やかに取り消しまたは訂正する。

今回の判例は「名誉毀損は」というコンテキストなので、全てのネット上の書き込みに対して、上記基準を持つ事を求められているとは言えなさそうですが、仮にこれらをネット上の書き込み全てに求められる未来が来ると、恐らく日本におけるネットでの情報発信は大幅に縮小しそうです。

なお、この話題になると「マスコミは訂正しない!」とか「マスゴミはひどい」とか「マスゴミこそいい加減」という議論に入りがちだと思います。 個人的には、組織ではなく個人であるネットユーザに「報道と同基準」を求めるのは、事実上「ネットユーザが報道以上に厳しく追及されることが多くなる」のに近いと思っていますが、それは脱線しがちなので範疇外とさせて下さい。

この判例が招くかも知れない未来

今後、この判例を「足がかり」として次々と「判例」が構築されていくのだろうと思います。 そして、真綿で首を締められるように、徐々にネット上の書き込みに対しての包囲網が狭められて行くのかも知れません。

あまりに酷い中傷や根拠の無い陰謀論による名誉毀損に対して同情しませんが、「ネットの書き込み」全般に対して恐ろしく厳しい責任だけが増加する状態が増えるとどうなってしまうのかが多少心配ではあります。

現時点では書き込む「場」を提供する事業者の責任範囲はプロバイダ責任法で明記されているので、今回の「報道と同基準」が影響を与えるのは主に書き込むユーザ側だと思われます。 特に、中傷を行っていない「報道」に感化されて、「これはひどい!」と思って感情的な書き込みをしてしまうことが多いユーザが影響を受けるのかも知れません。

2chは大丈夫でも2chまとめサイトはブログ?

今回のコンテキストでは、2chは書き込む「場」を提供しているプロバイダ側です。 一方で、いわゆる2chまとめブログ(or 2chまとめサイト)は、2chに書かれた情報を選択したうえで再配信している形になるので、今回の判例をモロに受けるのかも知れないと思いました。

2chまとめブログは、今回の判例の「一方的立場から作成されたにすぎないものもあること」を「関係者に事実関係を確認することも一切なく」という状態で、2chへの書き込みを再掲載しているという側面がありそうです。

今回の判例が直ちに2chまとめブログに影響を与えるとは思えませんが、2chまとめブログや、ネット上の伝聞情報をまとめることを主目的としたブログやサイトを運営するリスクが上昇したのかも知れないと妄想しました。

ソーシャルブックマークで油断すると危ないかも

今回の判例を見て、公開設定で利用しているソーシャルブックマークに対しても「放送と同基準」が適応されるということもあり得そうだと思いました。 ソーシャルブックマークは「個人の正直な感想を書く場」という認識がされている部分も一部ではあり、感情的な衝突を観測することもあります。

感情的な衝突や、ひどいと思った事に対して中傷と受け取られかねない表現でソーシャルブックマーク登録する事に対して「放送と同基準」が適応されるとき、日本国内のソーシャルブックマークシステム上に構築されたコミュニティは色々変化していくのかも知れないと妄想しました。

今回の判例に際して、ソーシャルブックマークユーザも大勢が見えてくるまでは多少用心した方が良いかも知れないと思いました。 気にし過ぎだといいのですが。。。

ブログ記事の再配信も影響を受ける?

最近は、ブロガーと契約もしくは合意を結ぶ事によって、ブログ記事をそのまま再配信するネットメディアやポータルサイトが存在しています。 名誉毀損に関して「メディアと同基準」が適応されるとき、このような形態でのメディアも影響を受けるのかも知れないと妄想しました。

たとえば、ブロガーが名誉毀損を問われる記事を書いて、それがネット再配信メディアを通じて自動的に再配信された場合、ブロガーだけではなく再配信を行ったネットメディアも名誉毀損に問われる可能性がありそうな気がしました。

ロス疑惑では、共同通信とそれを掲載した地方新聞の両方が名誉毀損に問われました。 以下、多少長いのですが主文に書かれている文章です。(PDF)。

 民事上の不法行為たる名誉毀損については,その行為が公共の利害に関する事実に係り,その目的が専ら公益を図るものである場合には,摘示された事実がその重要な部分において真実であることの証明があれば,同行為には違法性がなく,また,真実であることの証明がなくても,行為者がそれを真実と信ずるについて相当の理由があるときは,同行為には故意又は過失がなく,不法行為は成立しないとするのが当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和37年(オ)第815号同41年6月23日第一小法廷判決・民集20巻5号1118頁参照)。

 ところが,本件各記事は,被上告補助参加人が配信した記事を,被上告人らにおいて裏付け取材をすることなく,そのまま紙面に掲載したものである。そうすると,このような事情のみで,他に特段の事情もないのに,直ちに被上告人らに上記相当の理由があるといい得るかについて検討すべきところ,今日までの我が国の現状に照らすと,少なくとも,本件配信記事のように,社会の関心と興味をひく私人の犯罪行為やスキャンダルないしこれに関連する事実を内容とする分野における報道については,通信社からの配信記事を含めて,報道が加熱する余り,取材に慎重さを欠いた真実でない内容の報道がまま見られるのであって,取材のための人的物的体制が整備され,一般的にはその報道内容に一定の信頼性を有しているとされる通信社からの配信記事であっても,我が国においては当該配信記事に摘示された事実の真実性について高い信頼性が確立しているということはできないのである。【要旨】したがって,現時点においては,新聞社が通信社から配信を受けて自己の発行する新聞紙に掲載した記事が上記のような報道分野のものであり,これが他人の名誉を毀損する内容を有するものである場合には,当該掲載記事が上記のような通信社から配信された記事に基づくものであるとの一事をもってしては,記事を掲載した新聞社が当該配信記事に摘示された事実に確実な資料,根拠があるものと受け止め,同事実を真実と信じたことに無理からぬものがあるとまではいえないのであって,当該新聞社に同事実を真実と信ずるについて相当の理由があるとは認められないというべきである。

要は、いつも良く取材された内容が配信されているからといって、配信された記事をそのまま信じて名誉毀損をしてはいけないという内容になっています。

さらに、東京女子医大病院で発生した事件に関する報道による名誉毀損では、2007年に共同通信は取材によって真実と信じる相当な理由があったとする一方で、記事の配信を行った上毛新聞社、静岡新聞社、秋田魁新報社の3社は十分に調査を行っていないということで賠償責任があるとされました。 このとき、ロス疑惑の判例が根拠になっています。 ただし、この裁判は2009年に共同通信と地方新聞3社両方に賠償責任が無いという判決が出ています。

このような判例を考えると、「単にブログ記事を再配信する」という行為や、「単にソーシャルメディア経由で他人が書いた内容を再配信する」という行為が今後問題になる可能性もゼロでは無い気がしてきました。 また、その際にネット書き込みも「報道と同基準」とするという部分が、論理の接着剤のような役目を果たすのかも知れないと妄想しました。

参考:Matimulog: jugement:通信社配信記事の名誉毀損

Twitterの書き込みは外国?

Twitterの本体は現在アメリカにありますが、ここに中傷を書き込んだ個人に対しても「報道と同基準」の判断が適応されるのでしょうか?

アメリカのサイトに対する日本からの書き込みに、日本の法令が適応できるのかどうかに関しては良くわかっていませんが、事例によっては技術論ではないところで色々と話が進んでしまいそうな気もします。 そのため、場合によっては、サーバが日本にあるか無いかではなく、書き込んでいる本人が日本にいるかどうかが大きな鍵になるということもありそうだと妄想しました。

プライバシにも影響?

プライバシに関しては、Sun Microsystems(Sunは昨年Oracleに買収されました) CEOのScott McNealy氏が「Privacy is dead - get over it!」と発言したというのが有名ですが、今回の判例が他の裁判に影響を与え、プライバシ侵害に関しても「放送と同基準」という話になって行くと、日本においてはネットにおけるプライバシに関しての考え方がアメリカ等と違った流れになる可能性もありそうだと妄想しました。

プライバシの範囲や感覚は現在混沌としており、人によってあまりに基準が違うため、事件が発生したときには大きな影響を与える判例が登場するということもあるのかも知れません。

SNSはクローズドだから大丈夫?

Wikipedia:名誉毀損罪」では、名誉毀損罪とは以下のようなことと記述されています。

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に成立する(刑法230条)。法定刑は3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金である。

「公然と」という部分がポイントとなりそうですが、その「公然」に関してはWikipediaでは以下のように書かれています。

「公然」とは、多数または不特定のものが認識し得る状態をいう。たとえその当時見聞者が皆無であったとしても、公然事実を摘示したものということを妨げることはできない。 会議室やトイレでの会話など、少数であってもそれらの者がしゃべって伝播していく可能性があれば、名誉毀損罪は成立する。いわゆる「公然」とは秘密でない行為を指称し、多数人の面前において人の名誉を毀損すべき事実を摘示した場合には、その多数人が特定しているときであっても、その行為を秘密ということができない場合は公然ということを妨げることはできない。道路通行人にも容易に聴取れる状況の下で怒鳴った場合には、公然でないとはいえない。

たとえば、2001年に病院の事務局長が理事に1時間半以上「バカ」「アホ」と罵られ続けた事を名誉毀損とされたこともあるようです。

「バカ、アホ」連呼で30万! - スラッシュドット・ジャパン

このような事例を考えると、パスワードなどによって管理されていて完全公開ではないSNSなどの環境においても名誉毀損は成立するのではないかと思いました。 さらに、今回の件をセットで考えると、mixiなどのSNSへの書き込みに関しても、名誉毀損に関しては「報道と同基準」となってしまうのでしょうか?

逆に「ネット書き込みの責任範囲」に関しての法律が必要になってしまう?

今までは、ネットの匿名性や中傷的な書き込みを制限するために、ネットの書き込みに関する法律を求める声がありました。 しかし、今回の判例を機に、ネットに書き込む側の責任範囲を明記されないと逆に正当な情報発信も萎縮してしまう可能性がありそうだと妄想しました。

現時点では、書き込む「場」を運営する側の責任範囲はプロバイダ責任法で明記されています。 一方で、その「場」に対して情報を書き込むユーザ側の責任範囲は明記されていません。 そのため、全ての書き込みに「報道と同基準」を適応するのかどうかという線引きが曖昧のままでは不安になる人もいそうです。

判断基準が明確にならないと書き込み側が困ってしまうという意味では、プロバイダ責任法が必要になった過程に似た状況が今後発生するのでしょうか。 ただ、変に法律が作られて行くと、その過程で変な内容が含まれてしまうという可能性も捨てきれない気もしています。

どうなってしまうのだろう。。。

もう、この判例は、今後もずっと残されたままであり、この判例を根拠とした裁判が今後発生することは避けられないのではないかと妄想しています。 あまりに酷いネット上の書き込みへの同情は全くありませんが、ネット上の書き込み全てに報道と同基準を適応されたときに、どのような変化がソーシャルメディアやブログなどに発生するのかは、今のところわかりません。

今までもネット上での書き込みが名誉毀損であるとされる事件は色々ありましたし、オフラインで少人数しか居ない場での名誉毀損もありました。 今回の事例は、それらに「報道と同基準」という要素が加わった形だと思われます。

恐らく判例が積み重なる事で徐々に雰囲気が決定されていくものと思いますが、場合によっては色々大きく変わりそうだと思った今日この頃です。

inspired by http://twitter.com/Tristan_Tristan/status/10989328699

追記

続きを書きました。「ネット書き込みで損害賠償数百万円の時代が来る?

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